発売十周年ということでキサラギGOLD☆STARというゲームについて書いてみる

 どうも、笑藁というものです。

 この度、どうしてもタイトルにある事が書きたくて投稿させて頂きました。

 

 私がこの記事で語らせていただくのは、『キサラギGOLD☆STAR』というゲームについてです。最初に言っておきますが、この作品は18歳未満プレイ禁止の美少女ゲーム、所謂『エロゲー』なので、これをもし18歳未満もしくは高校生以下の方が見ていましたら、PC版のプレイはもうちょっと我慢してください。尤も、全年齢移植版がPSPで出ていますし何だったらPSストアでDL販売がされているのでそちらをプレイして頂ければ何の問題もありません。

 というか、僕自身十周年などと言っていますが本作発売当時未成年でした。PSPで移植版が出た時に知りましたので、出会いから十年経ったわけではありません。

 

 さて、本題に入りましょう。

 

 キサラギGOLD☆STARとは、古参アダルトゲームブランド『SAGA PLANETS』さんが2010年10月29日に発売したエロゲーです。本作は春夏秋冬をそれぞれモチーフにした『四季シリーズ』の一作であり、本作はその秋に該当する作品です。

 秋といえば『月』を思い浮かべる方も多いと思いますが、本作ではシナリオに月が極めて重要な意味を持っていて、詳しいストーリーは後述しますが十五夜からストーリーが動き始め、十三夜でその幕を下ろします。

 では、ここから本作について幾つかの項目に分けてお話しましょう。

 この記事は主に未プレイだったり存在を知らないという人を対象としていますが、プレイ済みの方も当時を思い出しながら読んでいただけると嬉しい。

 

ストーリー

 

おはよう!×6

良い天気だね!×6

はやく行かないと!×6

ここは昔懐かしい長屋の一角。
ぼろぼろだけど、気持ちだけは前向きに、花を植えて、可愛く飾って、名前は『秋桜こすもすそう』。

ずっと一緒に暮らす幼なじみ6人組の声が響く。
そろって大きくなって、今でもそろって登校する仲間たち。

主人公、『新田二見にったふたみ』以外の人は、みんな更衣きさらぎ学院の特待生!
歌にピアノと、その才能で、注目を集めている。
いっぽう、二見は何の取り柄もないけれど、昔からの腐れ縁で、みんなの面倒を見ている、お母さん的な存在。
学院ではアイドルな幼なじみ達だけど、生活力には問題あり。
彼がいないと何にもできない。
二見を頼ってすぐに寄ってくる。

そんな6人には、大きな夢がある。
幸せ×6の夢。

叶うと信じて、今日もみんなで、今日こんにち川の土手を自転車で走っていく。

 

(本作公式HPより引用)

 

公式に書かれているあらすじはこういった感じですが、これを見ても分かる通り、本作は幼馴染ゲーです。

 本作のメインヒロインは4人いるのですが、うち三人が幼馴染、後の一人が義妹です。なので、ボーイミーツガール要素とは無縁ですが幼馴染好きの人間にはたまりませんね。で、幼馴染な上に今でも一緒なわけですから当然全員主人公とは極めて仲良しです。ただ、ストーリー開始時点で主人公に明確に恋愛感情を持っているとされるのは義妹含めて二人。後の二人は接していくうちに恋愛感情が芽生える、という流れになります。公式が配布していた宣伝バナーに『いつの間にか、友達だった。いつの間にか、恋だった』というキャッチフレーズが書かれていますが、本当に気が付いたら、という流れで主人公はヒロインに恋をします。

 では、それぞれのルートとキャラクターを合わせて紹介していきます。流石に十年も前の作品なのでもう時効かもしれませんが、一応ネタバレは極力避けていきたいと思います。

 

その前に、共通ルートについて。

 

・共通ルート

 共通ルートは幼馴染たちとの日常から始まり、その中で十年前の事について探っていきます。彼ら六人が身に着けている腕輪が突如光るが、主人公のものだけは光らない、というような出来事が起こります。ただ、この段階ではそれほどシリアスな話にはならず、基本的に平和です。学校の敷地でたき火したりやたら惚れっぽい女の子に振り回されたり、色々あって草野球の助っ人になったり……十五夜の日にはみんなで長屋の屋上に上って月見をしたり。ここまででプロローグです。

 主人公は事前に先生に言われた通り、幼馴染達が十三夜の日に向かえる学祭『月詠』に向けて準備するサポートをします。ここからはマップ選択で目当てのヒロインを選んでいけば基本それだけでルートに入れます。

 

では、各キャラクターとルートについてお話します。

キャラクター

 

まずは、主人公から。

 

・新田二見

 本作の主人公。起きるのが遅い幼馴染を起こしたり、(両親が不在なので)妹のご飯を作ったりと幼馴染のオカン的存在。ただし、趣味が盆栽だったり感性はおじいちゃんに片足突っ込んでいる。シスコンであり、キモイことを言っては妹にしばかれる。

 『冴えない男』『取り柄のない』と割とひどい言われ方をされるが、作詞したりギターやピアノを弾けたり結構ハイスペックである。エロゲーではままある話かもしれないが。ただし、言う事はちゃんと言うし、重要な場面では男を見せてくれる良い男。TRUEルートで先述のハイスペックさが霞む程度に凄いことを成してくれる。というか、TRUEルートは彼の為の物語である。

 

続いて、メインヒロイン4人です。

 

・遠藤沙弥

 

 個人ルートのストーリーや公式での出方を見るに、恐らく最もメインのヒロイン。そして、我が永遠の女神。彼女との出会いが無ければ今の自分は存在しなかったとさえ言える。

 性格は明るく素直で、一つ年下の妹ヒロイン、いちかと並び精神的には幼い。口癖は『ぎゃおー』で一人称は『わっし』と言ってしまえばクセの強い子。それ故に、はまれば沼に落ちる。更にやや厨二的センスがあり、必殺技に『ルナティックファイヤー』がある。そういう性格故か、プロレスも好きだったりする。

 余談だが、彼女の声優を務める『結衣菜』氏は本作がデビュー作であり、声質は勿論ちょっと舌足らずな所も彼女のキャラクターに非常にはまっていて素晴らしい。この人を選んだ製作スタッフの慧眼に賞賛の念を禁じ得ない。

 声楽科の特待生で、歌で人を幸せにするのが彼女の夢。この『幸せにする』という点が彼女のルートの主題の一つである。

 名前から察した人もいるだろうが、たまに『さやえんどう』と呼ばれる。昔はその名前でからかわれたりもした。この名前で某お菓子マンガのサヤ氏を思い浮かべた方もいるだろうが、筆者はそっちのサヤ氏を見る度に沙弥に思いを馳せている。この思いを一人でも多くの人に共感して頂きたいとちょっとだけ考えていたり。

 彼女のルートでは、前半は『コウタロウ』というナルシストなプロデューサーに沙弥を取られないよう、歌対決をする。二見が沙弥をプロデュースするのだが、その過程で彼が沙弥に想いを抱き、それを歌詞として彼女に歌わせる。彼が作詞した歌は挿入歌として劇中でも流れるが、非常に中毒性の高い曲であり、必聴。ぎゃおぎゃお。

 中盤で恋人になった沙弥との恋人生活が描かれるが、幼馴染から恋人になったけど、どうすれば……というもどかしくも微笑ましい恋人生活が見られる。普段の彼女とは全く違う姿を見る事が出来る。

 終盤で衝撃の事実が明らかになるが、それに対し幼馴染達が奮起し、立ち向かっていくのはとても良い(語彙力)。口癖や一人称のエモい由来にも注目。ルートのテーマはあえて言うなら『絆』。

 音楽の項でも述べるが、このルートの佳境で流れるBGM『俺の歌を聴け』は素晴らしい楽曲なのでアコースティックギター(多分)が好きな人もそうでない人も是非耳を傾けて頂きたい。

 全年齢版の追加シーンでは声が大きく変わっており、18禁版をやっていなくても追加シーンが一発で分かってしまう。

 

・羽音々翼

 『はおとねつばさ』と読む。公式人気投票で一位に輝いたヒロイン。

 学院のマドンナで、男女問わず大人気。普段は猫を被っているが、たまに黒い部分を覗かせる。

 本編開始時点で二見に想いを寄せており、その片想いには年期が入っている。黒モードになる原因もほぼ二見関連である。とにかく二見のこととなると思考が暴走して妄想にふけったり、他のヒロインのルートでは失恋したと知るや否やヤケクソになったりやはり思考が暴走する。この黒翼の独白は見ていてかなり面白いので、これだけでも彼女のルートの価値は大いにある。無論恋人になれば正統派に可愛さを出してくるので、この可愛いと面白いの二面性こそ彼女の魅力。

 奏楽科の特待生で、ピアニストになるのが夢。彼女のルートは自身の夢や生まれた街、自身の環境に対して向き合って自分の本当の願いを探すというもの。メイン四人のルートでは最も平和なルートであり、最初は彼女を攻略することをお勧めする。

 

・新田いちか

 二見の義妹。明言されていないが、母の連れ子。ロリ枠。

 剣道部に所属しており、昔は身体が弱かったが今ではとっても元気。打突時の掛け声は「ちゃああああああ」である。剣道って身長が小さいと面打てなかったり不利なのだが、それで特待生な辺り相当強い。

 二見の事は度々しばくなど雑に扱っているが、ルートによっては二見の恋を助けてくれたり窮地に駆けつけてくれたりと頼れる存在。

 彼女の夢は、『二見を守ること』。彼の家族である為に、彼を守る力を欲したのが彼女の原点。

 そして彼女のルートでは、一度は捨てた彼への恋愛感情が再燃し、妹と恋人の狭間で揺れる。ひとえに『家族』が彼女のルートのテーマであり、個人的にはシナリオとして最も面白かった。ED前のシーンではマジで泣いた。

 

・藤丸命

 大和撫子という言葉が相応しい黒髪美人。そしてヒロイン中最大のおっぱいを持つ(翼と僅差だが)。翼の二見への想いに気付いており、彼女と親友キャラの瞳をよくいじる。特に瞳に対する風当たりが強く、揃うと大体いじめている。昔からこうだったようで、彼女なりの友情表現なのかもしれない。

 二見には幾分優しいが、いきなりホラーな絵を描いて見せたりする(今の気持ちを表現した、らしいが)。気丈に見えて背負い込むところがあり、彼女を支えるこのルートの二見は中々かっこいい。

 いつもオコジョのまーくんと一緒にいる。

 美術科の特待生であり、彼女のルートはいちかとは別の形で『家族』をテーマにしている。前半は母が自分への心配から再婚するのを止めると言ったことで『心配ないという事を見せる為二見に恋人のふりをしてほしい』と頼む所から始まる。それからお互いを意識し始めて本当の恋人に……という流れ。しかし、中盤以降出生の秘密が明らかになる。いちか、沙弥ルートとは違った意味でのシリアスなシナリオであり、リアルさで勝る分攻略中の重さは一番だった。とはいえ、ストーリー全体の核心には踏み込まないので、翼の次に攻略するのをお勧めする。

 

 メイン四人はこういった感じ。ここからは順番にサブヒロイン含むその他のキャラクターをある程度紹介したい。

 

・流川瞳

 二見の親友。『ながれかわ』と読む。るかわではないので『どあほう』とかは言わない。

 チャラい感じの見た目通り、女の子の友達がめちゃくちゃ多い。携帯の友達フォルダには百人や二百人分のアドレスがあるらしい。一方で、男友達は二見のみ。臭い、不潔、デリカシーがないなどの理由で男が嫌い。二見の事は本当に大切に思っており、ルートによってはあえて憎まれ口を叩いて二見を奮起させてくれる。

 美装科の特待生で、デザイナー志望。彼の夢と願いはTRUEルートでのみ明らかになる。TRUEルートは半分瞳ルートである。いやマジで。

 命にしばしばいじられたり、従姉妹の翼からも邪険にされているが、TRUEルートでの扱いやハブられることが無い辺り、何だかんだ幼馴染としての絆は存在すると言っていい。

 

・蓬田奈々子

よもぎだ』と読む。二見たちとは幼い頃から知り合いのお姉さん。実家の喫茶店イスタンブール』を手伝っており、気まぐれランチは本当に気まぐれなので注文するのに勇気がいる。淹れるコーヒーは激マズ。

 昔ピアノをやっており、今でも腕は健在。ルートによっては二見の師匠になる。彼女のルートは翼ルートに進む途中から分岐する。二見とは十歳ぐらい離れているようだが、男女交際の経験は無し。お姉さんキャラだが初々しいのが良い。彼女のルートではピアノに対するトラウマに向き合っていく。

 

・霧島冬理

 一年生の女子で、著名な画家の娘。命ルートでは重要な役割を担い、彼女自身のルートも命ルートクリア後に開放される。彼女に対して詳しく述べるとネタバレになってしまう為、彼女のルートに入ろうとした時、命ルートの彼女を浮かべて思うであろう事を代弁させて頂くのみとする。『君さっきの子と違わない?

 とりあえず彼女に対して抱く印象はルートをやるか否かで変わってくるので、是非確かめてもらいたい。

 

・富良峰英子

 学院の風紀委員長で、毎朝校門で生徒のチェックをしている。剣道部の部長でもあり、いちかルートから分岐する形で彼女のルートに入れる。堅物風紀委員長の『兄上』呼びは中々来るものがある。彼女のルートも説明するとネタバレになりかねないので詳しく述べることが出来ないが、シリアスというよりギャグ要素が多めなので読みやすい。EDが個人的に結構衝撃だった。(いい意味で)

 

・藤堂桂子

 剣道部の部員。華奢な身体つきをしており病弱で度々血を吐いているが、実際のところ本当かどうか怪しい。初対面の時点で二見に友好的で、いちかとも仲が良かった。ヒロインではないが、英子ルートでHシーンがある。

 

・朧一穴

 剣道部の部員。桂子とは対照的にふくよかな体型。『おぼろいづな(原文ママ)』という必殺技を持ち、実力はいちかにも劣らない。初対面時から二見に熱烈な視線を向ける。英子ルートにおける主なコメディリリーフである。英子ルートで二見とHしている(流石に描写は無いが)。

 

・久遠三日

 声楽科の一年生。沙弥のファンで、TRUEを除けば彼女のルートでのみ出てくる。二見に対しては塩対応であり、沙弥ルートにおける敵役の一人といえる。ある場面で前作『ナツユメナギサ』のEDを歌う。

 全年齢版ではルートが追加されており、それまで見られなかった可愛い一面や明かされなかった生まれと育ちが分かり、見方が大きく変わること必至。

 

・岡部早苗

 二見の担任で、彼含む幼馴染のことを気に掛けている。声楽科の特別顧問でもあり、沙弥の才能を大きく買っている。

 典型的過ぎるツンデレであり、今となっては逆に新鮮。ルートが無いのが残念なほど良いキャラである。奈々子とは大学時代の友人で、彼女のトラウマの件も知っている。

 

・コウタロウ

 『サガプロダクション』に所属するプロデューサーにして歌手。嫌味なナルシストであり、マザコン。何かと『センス』という言葉を口にする。TRUEルートを除いて沙弥ルートと三日ルートでのみ登場する。

 

十六夜

 二見たちが十年前と今の十五夜で出会った不思議な女性。彼らに腕輪と夢を叶える力を与えてくれたが、素性は一切不明。

 

・稲垣梅子

 奏楽科の生徒であり、翼をライバル視している。低身長巨乳。お嬢様口調で話しているが、口調が強い。実際はただ素直になれないだけであり、根は優しい子。攻略対象ではないが、選択肢次第で二見に胸を揉まれる

 

・田辺葉月

 声楽科の女子生徒。異様に惚れっぽい上に性別はおろか種別さえ超えた恋をする。瞳から始まっていちかに目が行き、挙句の果てにまーくん(メスのオコジョ)にまで恋をする猛者。個別ルートに行くと出なくなる。

 

・まーくん

 いつも命の側にいるオコジョ。男らしい性格だが、メス。命曰くグルメであり、美味い食べ物に喰いつく。二見の飯も気に入ったようだ。命ルートではとても大事な役割を持つ。

 

・兵部中

 『ひょうぶあたる』と読む。

 二見の友人で、翼に憧れている。裕福な家庭の生まれらしく、庶民的な恋に憧れている。本人に悪気は無いが口が悪く、Twitterをやらせたら何処かで炎上しそうな男。個別ルートに入ると出なくなる。

 

・讃岐月光

 存在自体がネタバレの為、何も語れないキャラクター。明確に姿を見せるのは一部のルートだけ。いちかルートの感動は月光の存在あってこそである。

 

以上が、本作品におけるキャラクターとルートの概要である。では続いて、本作の音楽について語っていこう。

 

音楽

 本作のOP『Rolling Star☆彡』は、一昔前のエロゲーをやったことがある人なら耳にしたことがあるであろう『I've Sound』が手掛けている。歌うのはこの曲でデビューした三人組のグループ『Larval Stage Planning』。アニメだとハイスクールD×Dバカとテストと召喚獣のOPを歌っていたグループだ。

 ノリが良くも何処かエモーショナルなサウンドKOTOKO氏の書いた本作にピッタリなポップでこれまたエモーショナルな歌詞に、桐島愛里氏のアダルト、舞崎なみ氏のクール、朝見凛氏のキュートのそれぞれ異なる歌声が絶妙に噛み合い、懐かしい気持ちにさせてくれる珠玉の名曲である。この曲でI'veの存在を知った筆者はその後、I'veそのものにはまっていった。

 

 挿入歌の『as always』は同人音楽サークル『Tynwald music』が手掛ける。本作のBGMを担当した樋口秀樹氏の曲と歌詞を、White-Lips氏が持ち前の澄み渡る秋の空の如く美しい歌声で歌い上げる。何処を切り取っても『エモい』の一言に尽きる歌詞にWhite-Lips氏の声が合わさることで、一時期は出だしを聞いただけで目頭が熱くなっていた。

 また、劇中で翼が弾くピアノの音はこの歌のピアノアレンジである。翼ルートの終盤を飾る名曲『羽音』はこの曲のアレンジである。

 

 もう一つの挿入歌『狼男が恋をした』は沙弥の声優結衣菜氏が歌う。二見が歌対決の為に沙弥への想いを書いた歌、という設定で作中でも大事な意味を持つ歌である。中毒性が非常に高いので、結衣菜氏の『ぎゃおー』が頭から離れなくなるかもしれない。

 また、沙弥ルートをクリアしたらこの曲の歌詞を是非もう一度見直してみてほしい。

 サビの旋律が前述の『俺の歌を聴け』にも使われている。

 

ED、『Like a Star』は茶太氏が歌う、物語を締めくくるに相応しい一曲。彼女の可愛い歌声が、側にいる『君』を想う女の子の気持ちを可愛く表現する。要素を切り取ると可愛い曲、なのだが実際に聞いてみると涙が出てくる。聞くたびに泣いてしまうので、一時期はあえて聴くのを自粛していた。

 

歌だけでなく、as alwaysの作詞作曲を手掛けた樋口氏を始めとするアーティストのBGMも名曲揃い。

『ぱぱら~ぱぱら~』という声が印象的な『ぱぱらー』、夜空を見上げながら聴くと幻想的な気分に浸れる『朧』、ゲームの始まりでも流れる『6人組』、主にラストシーンで流れる『十年後のあなたへ』など、挙げればキリがない。というか全てが名曲。先述した『俺の歌を聴け』は流れるシチュエーションも相まって至高の一言に尽きる。

 

というわけで

 

 さて、ここまで好き放題語ってきましたが、ここでこの記事を書いた理由を改めて話します。

 発売十周年、というのは理由の一つですが、理由はまだあります。

 それは、『2020年10月29日が十三夜の日』だからです。

 何度も触れた通り、本作は月が非常に大きな意味を持っています。そしてストーリーが終わる十三夜の日が発売日の十周年と一致するのです。

 これはもう奇跡としか言えないでしょう。或いは開発側が予め十年後の十三夜の日を調べ、それに合わせて発売日を決めた可能性もあるにはありますが(作中の月詠祭の日も10月20日と、現実における2010年の十三夜の日と一致しています)それでも自分がキサラギ愛を開放する日としてはこの上ない日だったのです。

 

 自分が今の自分であるのは、間違いなくこの作品のおかげです。

 全年齢版が発売された2013年当時、私は二次元に興味ありありにも関わらず、気恥ずかしさから遠ざけていました。また、当時は所属していた演劇部でも上手くいかず、先生や共演者の方々に多大なご迷惑をおかけしていました。

 何もかも上手く行かず、一時は本気で自殺さえ考えた時、偶然出会ったのがこの『キサラギGOLD☆STAR』だったのです。彼女を、沙弥を見た時何かに吸い寄せられるように手に取り、気恥ずかしさに葛藤しながら購入。親からも隠してPSPでこそこそとプレイしました。ネットで見た攻略順通りにプレイしたので早く沙弥ルートに入りたくて爆速で進め、最後に回した沙弥ルートを毎秒悶えながらプレイしました。全ルートを終えた時、私は何か吹っ切れたようになりました。

 

 

 しかし、それから暫くは受験やら何やらでキサラギからは離れてしまいました。

 クリアから数年後、私は再び絶望に陥りました。そんな私を救ってくれたのも、キサラギだったのです。

 『久しぶりにやるか』という精神でプレイしたのですが、次第にかつて感じたときめきが蘇っていき、最終的に『人間の生き方は一通りじゃない』と気付き、二次元という新たな世界への希望で立ち直る事が出来ました。

 キサラギGOLD☆STARは、私を二度も絶望から救ってくれたゲームです。

 更に言えば、本作の背景の元となった場所、いわゆる聖地は私の親戚ゆかりの地でもありました。ここまでくると、運命を信じずにはいられませんね。

 

 皆さんにも、ありませんか。

 面白い作品、泣ける作品、好きなキャラクター。多くのものに触れるにつれて好きなものはどんどん増え、最高はどんどん更新されていきます。

 しかし、そんな中に煌々と輝く作品。好きや面白いという枠を超えて、己の一部として完全に根付いた『絶対不変の思い出の一作』。私にとって、キサラギこそがそれです。

 キサラギGOLD☆STARという作品、そして遠藤沙弥という人との出逢い。

 私が今、こうして生きているのは彼女たちのおかげです。

 何か宗教勧誘か某ゼミの漫画みたいなこと言ってますが、本当の話です。

 色々言いましたが、結局十周年という記念に乗じて愛する作品への愛を書き連ねたかっただけです。

 飛ばし飛ばしでもここまで読んで下さった方には感謝しかありません。

 

 これを読んで気になった方は、キサラギGOLD☆STARをプレイして下さると嬉しいです。PSストアなら2000円ほどで買えます。ですが無理強いはしません。あくまでも私にとっての始まり、思い出の一作というだけで、私以外の人には関係のない話ですから。欠点が無いわけではありませんし。それでもプレイして、何か貴方の心に残るようなものを感じて頂けたのなら、これ以上の幸せはありません。

 

 それでは、長々と駄文を書き連ね、お目汚し失礼しました。

 最後になりましたが、この作品を世に出して下さったSAGA PLANETS様とGN Software様、原画、音楽、シナリオ等々、本作の開発、発売に携わった全ての方々へ心よりの感謝を。貴方方が作り上げた作品は、ここにいる一人の心を確かに救っていたことをお伝えします。